経済用語の知識がゼロの場合
本格的な本,特にHarvard Business ReviewやMcKinsey Quarterlyなどの論文集を読む場合,経済・経営の用語をまったく知らないと内容の理解が難しいと思います.近年,経済・経営の理論をひとまとめにした本が何冊か出版されています.これらの中から,一冊選んで目を通しておくだけで,本の内容の理解度は,かなり向上すると思います.理論をまとめた本としては,以下が手ごろでお勧めです.
- 『ビジネス理論30分速習ノート』 ラモーナビジネスカウンシル
- 『「ビジネス理論」一夜漬け講座』 渋井 真帆
- 『50の経営理論が図表とたとえ話で3時間でマスターできる本』 山下 久徳 上野 可南子
これらを読んで得られるのは,あくまでそれぞれの用語の意味と,簡単な適用例といったところです.しかしながら,
- マイケルポーターの『競争戦略』
- ゲーリー・ハメルの『コアコンピタンス経営』
- ジョン・ガードナーの『リーダーの条件』
- 経営戦略の立案および評価に用いられる『SWOT分析』
- 前工程・後行程との緊密なやり取りにより,生産・調達の無駄をなくす『かんばん方式』
- 社員一人一人が業務・戦略の改善に取り組む『学習する組織』
- 個々の社員の行動の自由度を増すことで,組織の自己組織化を促進する『複雑系の経営』
- 他社のベストプラクティスを分析し経営に生かす『ベンチマーキング』
- 経営者の責任の明確化や,企業の監視体制の整備を促進させた『コーポレートガバナンス』
- 産業の構造的な魅力を評価する『SCPモデル』
- 弱者の戦い方について有益な示唆を与えてくれる『ランチェスター戦略』
- イゴール・アンゾフの『製品/市場拡大マトリックス』
- マッキンゼーの『組織の7S』
- 権限委譲と,部下の自律性の促進を行う『エンパワーメント』
- 企業の収益状況を評価する指標として有名な『ROE / EVA / ROA / IRR / CFROI』
- 顧客の維持や関係強化を意図して行う『CRM』
- 製品の寿命を評価する『プロダクト・ライフサイクル』
- スティーブン・P・シュナースの『創造的模倣戦略』
- 品質管理・コスト削減において有益な『シックスシグマ』
- 注文内容に応じて生産する『BTO / ATO』
- ネット店舗と実在店舗の戦略的な協力関係を築く『クリック&モルタル』
- シュンペーターやコンドラチェフ等の提案した『景気循環理論』
- フォン・ノイマンの『ゲーム理論』
- ミルトンフリードマンの『マネタリズム』
- …
といった用語の意味と,それが生まれた経緯,さらにそれぞれの関連性が頭に入っていることで,その後の読書の価値は大いに違ってくるはずです.また,今後何を読んだらよいか決めるうえでも,これらの知識が大いに役に立ってくれると思います.時間があれば,一度読んでみてはどうでしょうか.
最近は,著名なビジネス書をまとめて一冊で紹介する類の本も,複数出版されています.合わせて参考にしてみるのもよいかと思います.