『現場力を鍛える』
【評価】
☆☆☆☆
【紹介】
ローランドベルガー会長の遠藤功氏が執筆した本で,競争力の源泉として,強い現場を持つことの重要さを訴えています.
本の中ではオペレーショナルエクセレンス(現場力が競争優位に繋がるレベルまで高められた状態)という言葉が用いられています.強い企業にはこの状態を創り出すことが極めて重要な訳です.ではそのためにはどのようなことを意識すべきなのか?それが以下の二つです.
- 現場の人間一人一人が自ら考え,問題点を発見・解決する姿勢を身につける
- 部門内・部門間において健全な対立関係を維持する.
この二つを徹底させ,全社員が会社の成長のために能力を発揮する仕組みを作り出すことが不可欠であり,それに成功した事例として花王,トヨタ,デルといった優良企業の事例が紹介されています.
【管理人より】
コンサルタントの業務の中に,戦略の実行支援というものがあります.私も以前から思っていたのが,優れた戦略を立てることはできたものの,それを実行する土台が備わっていないためにその真価を発揮できていない企業が数多く存在するのではないかということです.むしろ,現場主導で優れたアイデアを生み出し,オペレーション・戦略にさらなる磨きをかけていける企業を創り出すことが一層重要なのではないかと思います.
製造業を中心に途上国に拠点を設ける企業,現地企業に業務委託をする企業が年々増加しています.人件費節約のための安易な海外進出も見直しが必要なのではないか,国内に残すべきものとそうでないものとの見極めをより的確に行えるような知見を創出していかなければならないのではないかと,考えさせられる内容でした.
【関連書籍】
『見える化』 遠藤功
『組織力を高める』 古田 興司,平井 孝志
『経営と現場力』 遠藤功