『マッキンゼー 組織の進化』

【評価】

☆☆☆


【紹介】

Mckinsey Quartely に掲載れた論文の中から,組織論について優れた示唆を与えてくれるものを選出し,編集した本です.

  1. 「気づき」を起点とした企業変革
  2. 進化する個人、成長する組織
  3. 部門を超える「機会」思考型組織
  4. イノベーションを育む組織
  5. 創造的破壊:組織内に市場原理を導入する
  6. リーダーなきリーダーシップ
  7. 変革マネジメントの真のリーダー
  8. 経営トップのチームワーク
  9. 適応の余地をつくる未完成の組織設計

の9本の論文から構成されています.この中でも特に印象的であった論文は以下の三つです.



4.『イノベーションを育む組織』ジョナサン D. デイ
5.『創造的破壊』リチャードN.フォスター
7.『変革マネジメントの真のリーダー』ジョン R. カッツェンバック

4.ではクレイトン・クリステンセン教授が著書『イノベーションのジレンマ』の中で述べている”実績のある企業が新事業を始めるならば,本体と切り離された小規模の組織にやらせるべきである”という主張に対し言及している論文です.5.は企業の経営システムは,業務を運営すると同時にJ・シュペンターが提唱した「創造的破壊」のスピードを上げるように設計することが重要であることについて,7.では企業の大規模な変革を主導するRCL(Real Change Leader)という存在について述べられています.



【管理人より】

組織というと真っ先に思い浮かべてしまうのが,各企業にとって最適な組織の型はどのようなものかといったところですが,それだけでは到底競争力につなげることは難しい訳です.明確な目標を提示すること,戦略を現場の社員にまで浸透させること,有能な人材を獲得・育成することなど,組織力の強化に必要なことは本当に数多く存在することを深く実感しました.いずれの章も特別目新しいことが書いてあった訳ではありませんが,普通に過ごしているとなかなか意識しないことが多く,その点では読む価値があるかと思います.

この本のように,論文集という形態のビジネス書は数多くあります.一冊の本で,様々な専門家の見解を知ることができることもこのような本をお勧めできる理由の一つなのですが,私としてはもう一つ重要な理由があります.それは次に読む本を選ぶうえで良い判断材料となることです.
今でもそうですが,私のように経営の専門教育を受けていない学生にとっては,著名な教授や経営者に関する知識も乏しく,数ある書籍の中でどのような本が自分にとって良いのかわからないことが多い訳です.そのような時,論文集を何冊か読んでみて,気に入った論文の著者や気になる用語をストックし,次読む本を選ぶ際の参考にするというのはなかなかお勧めです.試してみてはどうでしょうか?



【関連書籍】

イノベーションのジレンマクレイトン・クリステンセン(2000)
『ウォーフォータレント』エド・マイケルズ,マッキンゼーアンドカンパニー(2002)
『創造的破壊』リチャード・フォスター(2002)



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