『マッキンゼー式 世界最強の仕事術』
【評価】
☆☆☆☆
【紹介】
マッキンゼー社員である著者が,自身の経験および元同僚・上司等のインタビュー内容を元に書いた本です.仮説を立ててから行動することの重要さや,問題分析の手法等についての紹介の他,クライアントとの接し方やチームのパフォーマンス向上のための知見など幅広い内容を取り扱っています.
仮説思考や問題分析に関してはこれより優れた本も多数あるかと思います.それはそれでまた勉強するとして,私としては最低以下の三つは,本書から得られた有益な知見として常に心に留めておくべきかと思います.
- 全てを分析しようとしない
- 経営ツールに無理やり問題を当てはめようとしてはならない
- 当初立てた仮説をデータの分析結果や,状況の変化を踏まえ柔軟に修正する姿勢を持たなければならない
またクライアントとの接し方についての記述は大変参考になります.社内政治をはじめ,コンサルティング業務を行ううえで障害となるものは数多く存在します.単に分析力・思考力に優れているだけでは対処できないことがいくらでも存在することを深く感じさせてくれます.
【管理人より】
クライアントの限界を知ることは,多くのコンサルタント志望者,特に理系の学生にとって重要だと思います.理屈の上では最高の戦略・最高の組織を考案したとしても,それがクライアントに受け入れられるとは限りませんし,実行に移したとしても本当にクライアントにとって最良の結果を生むかはとは限らない訳です.
人間という様々な弱点を持った存在を相手にしていることを常に意識し,周りの人間一人一人に対する配慮を忘れないこと,どのような状況に対しても柔軟さを失わないことが,ビジネスの世界でやっていくうえで不可欠なのではと思います.
【関連書籍】
『マッキンゼー式 世界最強の問題解決テクニック』 イーサン・M・ラジエル
『マッキンゼーをつくった男 マービンバウワー』エリザベス・イーダスハイム
『マッキンゼー 経営の本質』 マービンバウワー