経営理論を用いた自己分析


最近,書店の就職活動コーナーへ行くと,本当に多くの就職活動本があります.私はその類にはあまり詳しくないのですが,有名どころを簡単に流し読みしていて少し気になったことがあったのでここで少し書かせてもらいます.それは,


自己分析の方法が絶対評価型であるということです.最近は自己分析ブームかと思うくらい自己分析用の書籍が増えています.本に書かれた指示に従ってワークシートを埋めていくことで,とりあえず「学生時代に頑張ったこと」や「自己PR」等々が用意できる仕組みになっていますが,これには重大な注意点があります.お気づきの方も多いと思いますが,


競合(他学生)と比べて優位性を持っていなければ採用へは繋がらないという極めてシンプルなことです.さすがに,その点には気づいていない方は少ないと思います.では,正しく競合を認識し,その強み・弱みをきちんと分析している学生はどうでしょうか?また自分の強みが,希少性があり,代替性が利きにくく,企業の需要と整合性が取れているかをきちんと認識している学生,それを効果的に伝える術を心得ている学生はどの程度いるでしょうか?




それらが完璧であるという学生は,以降の内容は読み飛ばして下さい.そうでない方にお勧めしたいのが,経営理論を用いた自己分析(そして競合・顧客の分析)です.お勧めしたいのは,3C,RBV,BASiCSの三つです.以下に簡単な解説を載せますので,気に入ったものがあれば取り入れてみて下さい.


(1)3C(Company,Customer,Competitor)の分析:最もシンプルなのが,自社,顧客,競合の分析から戦略を考える3Cです.Company,Customer,Competitorをそれぞれ,自分自身,志望企業,他の志願者と見なし,可能な限り客観的な分析を心がけます.注意すべきなのは,自分に都合の良いようにデータを解釈しないことです.これができずに,競争に敗れた企業は数え切れません.主観・楽観主義を排除し,客観的事実を基に分析を行うことを忘れないで下さい.


(2)RBV(Resource-Based View):RBVについては,知らない学生も多いと思います.これは,自社の内部資産(資金・技術・人材etc)の価値を評価し,戦略立案へと繋げるものです.その際注意すべき項目としては内部資産の「価値」「希少性」「不完全な移動可能性」「非代替性」といったものが一般的です.自分自身の長所や大学時代の体験がこれらを満たすかどうかを冷静に見つめ,ESや面接での回答を作成してみてください.


(3)BASiCS(Battle-field, Asset&Strength, Customer, Selling Message)の分析:これは3C,4P,RBVの統合型といった位置づけでしょうか.戦場,強みと独自資源,顧客,広報の5つを,同時に分析し,戦略につなげるというものです.個人的に評価の高い手法なのですが,何が良いかというと「戦場が異なれば競合も異なり,強みとなる資源もその広報戦略も異なってくる」ということを意識したうえで,各指標の評価が行える点です.時間・労力は掛かりますが,是非試してみてください.


以上となります.


【参考文献】
大前研一 戦略論』 大前研一
『企業戦略論』 J.B.バーニー
『資源ベースの経営戦略論』 シンシア.A.モンゴメリー
『経営戦略立案シナリオ』 佐藤義典



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