『「選択と集中」の戦略』

【評価】

☆☆☆



【紹介】

企業の収益構造の再設計に関して有益な論文を集めた書籍です.論文執筆者の中には

等がいます.


いずれの論文も,市場の変化のスピードに合わせ効果的に事業の分割・統合を効果的に行うことの重要性を訴えています.お勧めなのは以下の二つです.

  • 第5章 良い事業分割,悪い事業分割
  • 第7章 ストラテジー・キャンバスによる戦略再構築


良い事業分割,悪い事業分割では,事業分割に対し肯定的に捉える必要性と,事業分割を適切に行わないと親会社は勿論,当該事業部門にとっても大きなマイナスになることについて述べています.
ストラテジー・キャンバスによる戦略再構築では,既存戦略を一目で理解するためのツールとして有名な”価値曲線”を紹介し,これを用いて既存事業の競合他社との違いを掌握し,戦略を継続的に修正することの必要性について述べています.


論文によっては,現在のビジネス環境に活かし難いものもあります.書いてあることをそのまま捉えず,使える情報・使えない情報を振り分ける力を要する本です.



【管理人より】

買収・合併の際によく聞く”シナジー効果”という言葉ですが,実際に上手く引き出せているケースは非常に少ないですよね?

  • 被買収企業・合併相手は自社にはない価値のある戦略的資産を有しているのか?
  • 自社は相手企業に何を提供できるのか?
  • シナジーを生むにはどのような形態をとるべきなのか?
  • 統合させるのべきか独立させた状態にするべきか?
  • 各事業部門の規模はどの程度にするべきなのか?
  • どの程度権限委譲すべきか?
  • etc...

いずれに関しても明確なビジョンの元,戦略的な意識決定が必要な筈です.

事業の組み合わせを市場の変化に合わせ絶えず組み替えることが重要であるという考えについては,私も大いに賛成です.我が国でそれを適切に実行するには,事業の売買が今以上に効率的に行える市場環境の整備が重要になるのではないでしょうか?投資銀行M&A仲介企業等を中心に,それらを進めていく必要がありそうですね.



【関連書籍】
『成長戦略論』 ハーバードビジネスレビュー編集部
『経営戦略論』 ハーバードビジネスレビュー編集部
マッキンゼー式 最強の成長戦略』 パトリック・ヴィギュエリ



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